マイクロフィルムの長期保存について

長期保存されているマイクロフィルムの劣化

久しぶりにマイクロフィルムをキャビネットから取り出したときに異常を見つけたことはありませんか?マイクロフィルムの劣化にはいろいろな例があります。

以下の様な症状が見られる場合、既にフィルムの読み取りが難しくなっている、または今後そうなる可能性が高いと考えられるため、早急に保管環境の見直し、フィルム自体の修復や電子化を検討いただく必要があります。

酸っぱい臭いがする。
酢酸の臭いです。セルロースエステルでできたフィルム(TACベース)が湿気によって加水分解し、酢酸が生じている表れです。

フィルム同士がはりついている。カビが生えている。
湿度の高い環境で保管しているとカビが発生しやすくなります。手の脂、汚れなどもカビの原因となることがあります。

フィルムがべたべたし波打っている。
フィルムから生じた酢酸によって可塑剤(難燃性と柔軟性を持たせるもの)が溶け出してしまっている状態です。TACベースに起こります。可塑剤の結晶の白い粉がリールに付いている場合もあります。

銀色に光っている。
銀鏡化と呼ばれる現象です。フィルムが還元性の高いガスに触れた時などに多く見られます。

黄色っぽい染みが出来ている。
保管環境の大気汚染物質などによって生じる現象で、マイクロスコピックブレミッシュと呼ばれます。セロハンテープ等で接合した際(これは不適切な補修です)の接着剤などでも変色が起こります。

キズがある。破れている。切れている。指紋などで汚れている。
フィルムを利用する際の取り扱いが不適切な場合に起こります。通常の閲覧だけでなく、フィルムの複製やデジタル化作業で機械にかけた際、古いフィルムの接着部分がはがれることもあります。

マイクロフィルムの管理

マイクロフィルムはもともと長期保存性に優れた媒体ですが、保存のための基礎的な情報を知り、適切に保管環境を管理し、利用するときの取扱いに注意しなければ期待しているような長期保存を満たすことはできません。

マイクロフィルムの保存に適した環境は、涼しい・湿気が少ない・空気が綺麗なところです。低温・低湿にすることと同時に重要なのは、短時間における温湿度の反復変動を避けることです。

例えば、書庫と閲覧室の温湿度の差が大きかったり、温湿度が繰り返し変動するような場所に長期にわたってフィルムを置いておいたりすると、異常が起きやすくなります。また、ちりやほこりが入らないように注意する必要もあります。このように、長期に保存しようとすれば、維持のためのコスト・労力・時間を必要とします。

電子データに移行

マイクロフィルムのデータを全てスキャンして電子データに移行すると、保管のためのスペースやコストの削減、データを検索して取り出す過程(労力)の飛躍的な効率化というメリットがあります。当社にはマイクロフィルムを電子データにするための様々なコンバーターが揃っていますので、電子データ移行をお考えであればぜひお問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちらから

お問い合わせ