
官公庁で広がる名字のみの名札~背景にあるカスハラ問題
最近、官公庁を中心に職員用の名札を「フルネーム」から「名字(苗字)のみ」に変更する事例が増えていることをご存知でしょうか。
この背景には、職場でのカスタマーハラスメント(通称:カスハラ)の問題があります。
「カスハラ」とは、市民や顧客が企業・団体の職員に対して理不尽な要求をしたり、暴言を浴びせたりする行為のことを言い、多数の市民と直接接する機会が多い市役所等自治体の窓口は、職員がカスハラ被害に遭いやすい環境に置かれていると言えます。
この様な環境でフルネームの名札を身に付けて来客対応を行うと職員の個人情報が特定されて「付きまとい」や、SNSで実名を挙げて「晒される」といった被害に繋がる可能性もあり、こうしたリスクと職員の精神的な負担も減らす目的で名札を「名字のみ」に変更する取り組みが進められています。
民間業界でのカスハラ対策事例
官公庁と同様に、民間業界でもカスハラ問題は深刻化しています。
客商売においてはお客様満足を最優先した対応を行うことが重要であることは確かですが、行き過ぎた顧客至上主義が「カスハラ」を助長している面は否めません。
国も「カスハラ」を大きな問題と捉え企業への「カスハラ対策の義務化」が進められていて、本年の通常国会における法案提出が見込まれています。
とりわけ病院や金融機関、コールセンターなど不特定多数の利用者に対応する窓口業務では、一般的にクレームが発生しやすく以下のような安全対策や予防措置が取られているケースが多くなっています。
- 名札を「名字のみ・イニシャル表記」に変更
- 録画・録音装置の導入
- 専門部署を設置してカスハラ対応を分担
- 従業員向けにカスハラ対応マニュアルを整備
名札変更のメリットとデメリット
名字のみの名札には、職員の安全性を高め、精神的負担を軽減するメリットがありますが、一方で、市民や顧客からの不安や不満もあります。
また、大規模な職場では、同じ名字の職員が複数いる場合、顧客が混乱する恐れもあります。しかし、これらの問題には職員番号や担当部署を記載したり、職位によって色を変えるなど別の方法で対応することができます。
名字のみの名札は、低コストで導入可能であり、カスハラ対策として非常に実用的です。市役所を訪れる市民に安心感を持ってもらうために名札は必要ではありますが、職員の安全確保との両立を図るためにも名字のみの名札が手助けをしてくれるのではないでしょうか。
ちなみに弊社におきましては、従来電話口では受電の際に「社名と名字」をお伝えするルールとしておりましたが、昨年よりこれを「社名のみ」と変更しております。
「カスハラ対策」の一環としての取り組みですのでご理解いただけますと幸いです。
最後になりましたが、カスハラ対策としての名札(ネームプレート)作成にご興味がございましたら、ご注文・お見積りなど、プライバシーマーク認証取得のエイチ・エス写真技術へ、お気軽にご相談ください。
名札に限らず社員証のデザイン、社章の刻印入りなど、少量からオーダーメイドで作成いたします。お問い合わせをお待ちしております。
参考記事
・読売新聞「東京:名札『名字のみ』職員守る…自治体カスハラ対策で続々変更」(2024/10/09)
・読売新聞「SNSで自治体職員の『実名さらし』…フルネーム名札やめる動き」(2024/03/09)
・朝日新聞「自治体職員の名札、『名字だけ』が拡大 19市中15市が切り替え」(2024/06/19)※クリックすると外部サイトに遷移します。