
官公庁で広がる「名字のみの名札」と背景にあるカスハラ問題
この記事の要約
- 名札・ネームプレートのフルネーム廃止と名字のみ表記が官公庁・民間で拡大
- SNS晒しや無断撮影などカスハラ被害の抑止が主目的、視認性(読みやすさ)と匿名性の両立が鍵
- 民間では録音・専門部署・教育強化などと併用する多層対策が進展
- 導入は作成・印刷の切替で低コスト、識別性は部署名・番号・色分けで補完可能
なぜ進む・「名字のみの名札」
- カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、顧客などからの不当な言動や要求によって、従業員の就業環境が害される行為のことです。
- カスハラは窓口・電話応対での過度な要求・暴言・威嚇、さらにSNSでの実名晒しや無断撮影・投稿にまで及びます。
- 国も「カスハラ」を大きな問題と捉え、2025年6月4日にカスハラ対策を雇用主に義務付ける「労働施策総合推進法」が改正・成立しました。
- 2026年度中の施行を目指して、施行後は、民間・官公庁(自治体含む)全ての事業者に義務化される予定です。
- 官公庁だけでなく民間でもカスハラから職員を守るために名札(ネームプレート)の「フルネーム廃止」と“名字のみ”表記への切替が加速しています。
- 「名字のみの名札」はネット上での晒し・粘着リスクを抑えつつ、現場の安心とサービス品質の両立を図る実務的な対策として評価されています。
- 複数自治体で名札のフルネーム廃止と名字のみへの移行が進行しています。
- ひらがな表記や読みやすさの工夫など、個人特定リスクを下げる運用が広がっています。
官公庁で広がる名字のみの名札~背景にあるカスハラ問題
最近、官公庁を中心に職員用の名札を「フルネーム」から「名字(苗字)のみ」に変更する事例が増えています。 この背景には、官公庁といった職場でのカスハラの問題があります。
官公庁での「カスハラ」とは、市民や顧客が企業・団体の職員に対して理不尽な要求をしたり、暴言を浴びせたりする行為のことです。 特に多数の市民と直接接する機会が多い市役所等自治体の窓口は、職員がカスハラ被害に遭いやすい環境に置かれていると言えます。
この様な環境でフルネームの名札を身に付けて来客対応を行うと職員の個人情報が特定されて「付きまとい」や、SNSで実名を挙げて「晒される」といった被害に繋がる可能性もあり、こうしたリスクと職員の精神的な負担も減らす目的で名札を「名字のみ」に変更する取り組みが進められています。
民間業界でのカスハラ対策事例
官公庁と同様に、民間業界でもカスハラ問題は深刻化しています。 客商売においてはお客様満足を最優先した対応を行うことが重要であることは確かですが、行き過ぎた顧客至上主義が「カスハラ」を助長している面は否めません。
とりわけ病院や金融機関、コールセンターなど不特定多数の利用者に対応する窓口業務では、一般的にクレームが発生しやすく以下のような安全対策や予防措置が取られているケースが多くなっています。
- 名札を「名字のみ・イニシャル表記」に変更
- 録画・録音装置の導入
- 専門部署を設置してカスハラ対応を分担
- 従業員向けにカスハラ対応マニュアルを整備
名札変更のメリットとデメリット
メリット
- プライバシー保護と安全性向上: 個人情報が特定されにくくなり、SNSでの誹謗中傷やストーカー行為のリスクを大幅に軽減できます。
- 晒し・粘着の抑止など安全と心理的安心が向上
- 採用・定着へのプラス効果(安心して働ける職場づくり)
- ネームプレートの作成・印刷切替で低コスト・迅速に導入可能
デメリットとその対処
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同姓多数で識別性が低下: 同じ名字の職員がいる場合、顧客が個人を特定しにくくなる可能性があります。
→ 部署名・職員番号・色分けで補完
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来訪者が担当者特定に不安: フルネームの方が親しみやすさを感じるという顧客もおり、コミュニケーションに影響が出る可能性も考えられます。
→ ピクトや役割アイコンで案内性を確保
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「不親切」印象の懸念: 匿名性が高まることで、一部で対応の責任感が薄れるのではないかという懸念の声もあります。
→ 趣旨を掲示して理解を促進
実務上は、部署名・職員番号・色分け・ローマ字/ひらがな併記を組み合わせることで、識別性と保護の両立がしやすくなります。
まとめ
カスハラが深刻化するいま、「名札=フルネーム」は見直し期です。 “名字のみ”運用は現場の安心と来訪者の利便性を両立しうる実務的解です。 まずはデザイン指針(表記・色分け・部署/番号併記)を定め、ネームプレートの作成・印刷を段階的に切替えることで、スピーディーかつ低負担のリスク低減が可能です。
名字のみの名札は、低コストで導入可能であり、カスハラ対策として非常に実用的です。 市役所を訪れる市民に安心感を持ってもらうために名札は必要ではありますが、職員の安全確保との両立を図るためにも名字のみの名札が手助けをしてくれるのではないでしょうか。
ちなみに弊社におきましては、従来電話口では受電の際に「社名と名字」をお伝えするルールとしておりましたが、昨年よりこれを「社名のみ」と変更しております。 「カスハラ対策」の一環としての取り組みですのでご理解いただけますと幸いです。
「名字のみの名札」やDX推進は
エイチ・エス写真技術にご相談ください
カスハラ対策としての名札(ネームプレート)作成にご興味がございましたら、ご注文・お見積りなど、プライバシーマーク認証取得のエイチ・エス写真技術へ、お気軽にご相談ください。 名札に限らず職員証・社員証のデザイン、マーク・社章の刻印入りなど、少量からオーダーメイドで作成いたします。 お問い合わせをお待ちしております。
参考情報(外部リンク)
- 読売新聞「東京:名札『名字のみ』職員守る…自治体カスハラ対策で続々変更」
(2024/10/09) - 読売新聞「SNSで自治体職員の『実名さらし』…フルネーム名札やめる動き」
(2024/03/09) - 朝日新聞「自治体職員の名札、『名字だけ』が拡大 19市中15市が切り替え」
(2024/06/19) - NHK徳島:カスハラ対策 徳島県が職員の名札「ひらがな」「名字のみ」
(2025/04/02)
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